処遇改善加算は賞与で支払ってもいいの?
処遇改善加算とは、「介護施設や事業所が、職員のキャリアアップの仕組みを作成したり、職場環境の改善を図ることで、報酬として介護職に携わる職員の給与をUPするためのお金を国が支給する」制度です。
目的としては、今いる職員の賃金をUPし、働きやすいやりがいのある職場をつくり、定着率をあげるためにできた制度です。
では、処遇改善加算は、職員の毎月の給与の底上げをするために使用しなければならないのでしょうか?
賞与として支払ってもいいのでしょうか?
処遇改善加算の支払い方
支給をされた処遇改善加算の職員への支給方法は詳しく決まっていません。
支給方法は、事業所に委ねられています。
なぜなのかといえば、処遇改善加算の目的が、介護職員の待遇を改善することであるため、職員の収入が増えるという目的が達成できるなら手段を問わないということです。
つまり、毎月給与に上乗せして支払うこと、ボーナスとして支払うこと、どちらも可能なのです。
実際の加算方法は、書面上、以下のような項目となっています。
①基本給
②手当(新設)
③手当(既存の増額)
④賞与
⑤その他
①基本給
これは基本給に上乗せをし支給をする形です。
例)訪問介護員の基本給を〇円増額する
厚生労働省の見解としては、基本給に上乗せすることが最も好ましいとされています。
②手当(新設)
これは新しく処遇改善加算を支給するための手当を作成する形です。
例)処遇改善手当を介護職員一人あたり◯円/月支給する
職務手当を一人あたり◯円/日支給する
③手当(増額)
これは現存の手当に処遇改善加算分を追加し手当自体を増額させる形です。
例)処遇改善手当を介護職員一人あたり◯円/月増額する
介護福祉士の資格手当を◯円増額する
④賞与
これは事業所で支払われる賞与に処遇改善加算分を上乗せし支給する形です。
例)賞与を6月と12月の年2回、一人一回あたり平均◯円支給する
⑤その他
これは数カ月に1回などで給与に「一時金」として上乗せして支給する形です。
給与の支払項目としては、「処遇改善一時金」などを挙げることができます。
例)処遇改善一時金を◯月に一人あたり◯円支給する
補足1:処遇改善加算を毎月の給与で支払う際のポイント
前年の給与の金額を下げたり、手当を無くしたりし、その下げた分を処遇改善加算にて充当することは認められていません。
あくまで現在の基本給や手当に増額をし、支払うようにしましょう。
補足2:法定福利費について
処遇改善加算を支給し、職員の給与がUPすることにより、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・労働災害保険料・児童手当拠出金・雇用保険料といった社会保険料が上がることとなります。
社会保険料は事業所と職員で折半、もしくは事業所が負担をしているため、負担額も上がるということです。
この事業主が社会保険料で負担をしている部分が「 法定福利費 」といいます。
処遇改善加算は社会保険料の支払いのための使用はできません。
しかし、職員の給与がアップしたことにより増えた部分の法定福利費の事業主負担部分については、賃金改善額というふうに計算をすることができます。
職員全員に支払わなければならないの?
支給された処遇改善加算は、対象外(事業の代表者など)の介護業務を行っている人が対象となるため、雇用形態や資格の有無は問わず、正社員でなくても、パートや派遣社員の方へも支給が可能です。
指定金額を支払わなきゃならないの?
支給方法が自由ということで、支給額ももちろん定まってはいません。
決まっていることは「支給されたお金はすべて職員に還元すること」であるため、支給の采配は事業所に委ねられています。
つまり支給しない職員がいることも、職員によって金額に差をつけることも問題ないです。
まとめ
処遇改善加算をどのようにいつ、どうやって、いくら、だれに、支給するのかは、事業所の対応にある程度委ねられています。
この方法を逸脱し、本来支給できない金額を支給してはならない相手に支払うことは違法であり、支給されている加算額を全額返還などの事態にもつながってきます。
本来の目的である「職員の賃金をUPし、働きやすいやりがいのある職場をつくり、定着率をあげる」ことを目指し、しっかりと支給を行っていくようにしましょう。