デイサービスの物件契約前の注意点!法令チェックまとめ
デイサービスに利用する物件を契約する際の注意点をまとめています。絶対に不動産屋の言葉を鵜呑みにせず、事前に関係役所で相談をしましょう。なぜならデイサービスは国から指定を受けないと開業ができない=法令チェックが厳しいからです。
デイサービスの開業許可(通所介護の指定)を受けないとデイサービスはオープン出来ません。
指定を受けるためには申請前に物件を契約する必要があります。
言い換えると指定要件を満たしていない物件を契約してもデイサービスの開業許可を取得出来ません。
また要件を満たせている物件でもほかの法令に抵触すれば、建物として違法なので許可は取得できません。
つまり契約前にほかの法律とちゃんと適合している物件か確認しないと契約金などが全て無駄になり経済的に大きな損失を被るわけです。
それを避けるにはどうすればよいのでしょうか。
このページを読むことにより、デイサービスの物件選びに重要な法令確認の具体的な手順を知ることが出来ます。
まずは図面を持って相談する
都道府県により通所介護の指定を管轄する役所があります。
東京都で言えば福祉保健財団ですね。そこに自分が契約を考えている物件の図面を持っていきましょう。
相談しに行く際は、事前に電話をしましょう。担当が不在の場合や繁忙期には相談出来ないことがあり得るからです。
図面の他に次の項目も答えられるように準備しておきましょう・
なぜ図面を持っていく必要があるのでしょうか。
理由は次の通りです。
利用定員数により機能訓練室及び食堂の必要な広さが決まります。利用定員数が1人あたり3㎡以上必要です。その広さとして十分か確認を受けるためです。
では広さが人数×3㎡あれば図面確認は必要ないでしょうか。
そんなことはありません。
自分たちは機能訓練室に含まれると判断されるスペースが、役所では含まれないと判断されることもあり得ます。
また静養室や相談室のスペースとして確保していた場所が不適切だと判断されれば違うスペースを用意しなくてはいけません。
そのスペースが機能訓練室や食堂のスペースを削って作る必要がある場合も考えられます。
つまり役所の基準で適合と認められることが一番重要なわけです。その判断を仰ぐために図面がとても重要になります。
残念なことに開業予定の物件が要件を満たしていないと判断されれば2通りの選択肢があげられます。
1、違う物件にする
2、その物件を改修工事する
もしその物件にこだわるのであれば、どのように改修すれば要件を満たせられるかを確認しましょう。
もし改修できるようであれば、改修後の図面を持参して再度確認を受けます。
図面上OKと判断されれば物件のオーナーに改修の同意をもらい、工事の準備にとりかかります。
チェック項目まとめ
図面上の確認後にすることは他の法令にと適合しているかのチェックです。
デイサービスの要件とは別に、建物は他の法令でも基準が定められています。
他の法律に抵触する建物の場合、当然デイサービスとして利用出来ません。
1つずつ確認しましょう。
①適切な用途地域か
用途地域(ようとちいき)とは都市計画法の地域地区の1つです。
土地ごとに住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用法を定めます。
用途地域ごとにより、建築できる建物や営業できる事業は限定され、デイサービスも制限を受けます。
借りたい物件があるエリアはデイサービスを開業出来る用途地域かを市役所で確認しましょう。自治体によりますが都市計画課が管轄しています。
②建物の用途区分
土地だけではなく建物にも用途の区分があります。
デイサービスは用途区分上は児童福祉施設等に該当します。今回デイサービスにとして利用する建物の用途区分を確認しましょう。
原則、床面積が100㎡未満であれば用途区分の変更は必要ありません。
しかし自治体によっては広さの有無を問わず条例で建築確認を義務付けています。他の条例で福祉施設の建物としての基準も満たせているか確認を求められます(例、バリアフリー法、福祉の街づくり条例)
また2016年から小規模のデイサービスが総量規制をうけることで、国指定の通所介護の利用定員数が最低でも19人です。
つまり国から指定を受けるためには床面積が100㎡を超える物件を契約しなくてはいけない可能性は高まっています。
賃借料が高くなるのは当然ですが、建築確認の費用も別途必要です。さらに改修工事が必要となると何百万円も初期費用として必要になります。
まず建物の用途区分を調べて、建築確認の手続きが必要ない物件から契約物件を選択することも1つの手段としてはありなのかもしれません。
用途区分の相談は管轄の土木事務所か市役所の建築指導課で行ってください。
③消防法の確認
物件の図面を持って最寄りの消防署に行きましょう。
デイサービスを開業したい旨を伝えて、消防法上の基準に適合できているか確認します。
具体的には自動火災報知機の設置や防火管理責任者の届出等の指導です。物件の規模や用途区分により避難経路や設備の配置義務が生じます。
ちなみに、お泊りデイサービス事業を予定している事業所(1ヶ月で5日以上)は必ずその旨を伝えましょう。スプリンクラーや火災報知器等を必ず設置しなければいけません。
詳しくはデイサービスで開業!お泊りデイサービスを始める際の注意点でご確認ください。
・他の法令にも適合する建物であるかも管轄する役所に相談
・不動産屋の言うことを鵜呑みにしない
・法令確認が終わるまで絶対に契約しない
まとめ
いかがでしょうか。
注意点としては不動産屋の言葉を鵜呑みにしないことです。
彼らは物件を契約させることがゴールです。しかしその物件がデイサービスと指定を受けられるか、関連する法律を全て満たしているか等は理解していしないこともあり得ます。
国から指定を受ける以上、法令に抵触する物件は全てNGです。必ず関係法令を管轄している役所に事前に法令確認のチェックをうけましょう。
また通所介護の指定を受けるためには、申請時に全ての設備が整っている状態でなくてはいけません。
物件の契約や改修工事にかかるお金を全部支払い、人件費も発生している状態で1ヶ月~2ヶ月間は営業が出来ないというわけです。
このことからも必ず物件の契約は全ての法令チェックが終わった後でご契約ください。
また総量規制の影響もあり、デイサービスの開業費用が500~600万円ではオープン出来ないケースも増加しています。
その場合は無担保無保証で最大2,000万円の融資が受けられる創業融資を活用しましょう。詳しくはデイサービスの開業資金が足らない!おすすめの創業融資をご覧ください。
法令確認が心配な方はお気軽にご連絡ください。
介護事業の指定申請・許可をお考えのお客様へ
介護事業の営業許可は法人を設立してから指定を受けるなど細かな手続きが求められます。
いざ自分で申請書を書こうとしても、介護行政は似たような用語も多くて理解するの時間がかかってしまうことも。
そのために開業準備や退職前で忙しい時期に思うようにことが進まなく、開業時期がどんどん遅れてしまうこともありえます。施設系の許可であれば空家賃のリスクをも孕んでいます。
このサイトをここまで読んだあなたは
・「自分で営業許可をとりたいけど申請書の書き方が分からない」
・「介護で独立してもうまくやっていけるのだろうか」
・「任せるのであれば介護専門の行政書士が良いけど誰がいいのか分からない」
等々、悩んでいませんか。
当事務所は、介護行政の営業許可のシステムを日々研究して
・最短×格安で許可の取得
・事務手続きの軽減化
・最適なソリューションによる安心感
これらをご依頼人に提供することに成功しております。
依頼を受けた後も、
・時間と費用を最大限カットしたサービス
・必要最小限のこと以外は丸投げしてもらうスタイル
・許可後の法的安定性を見据えた申請
この3点をモットーに、末長くご依頼人に信頼感を感じてもらえるよう誠実に業務に取り組んでいます。
当サイト内の記事では開業で悩まれる方々に向けた開業情報やお役立ち情報をなるべく分かりやすく公開しています。
また皆様のご家族にも活用できるような介護行政サービスや介護保険制度の解説の記事もあります。
どうかお役立てください。
介護事業の開業で分からないことがあれば気軽にご相談ください。
当サイト監修
行政書士として各種許認可を中心に年間300件の相談を受ける。
特に介護行政の手続きには力を注ぎ、許認可取得のアドバイスから開業後のコンサルタントまで幅広く活動。
上田貴俊行政書士・社会保険労務士事務所
〒160-0004
東京都新宿区四谷4-2 ビアンコ四谷10F
電話番号 03-6796-3064
FAX 03-6732-3063