介護事業で開業を考えている人の悩みの一つとして開業資金があげられます。
自己資金で貯めたお金だけで全てやりくりしたいけど、現実的に難しいとお考えではないでしょうか。
そこで実績がない事業者でも、お金が低金利で借りられる制度をご紹介したいと思います。
それは創業融資です。
介護事業の特徴として申請書を提出してから、事業所として指定を受けるまで約2ヶ月ほどかかります。
指定を受けるまでは営業を始められません。
しかし申請書を提出する時点(営業を開始する2ヶ月前)から、人件費と物件にかかる費用は発生しています。
申請書を提出する時点で明日からでも営業を始められる状態にすることが指定を受けるための条件だからです。
また指定を受けても介護報酬が国保連から振り込まれるのはサービス提供月の2ヶ月後です。
開業前後の半年程度は利用者を集められても、まとまった収入はなく人件費や物件にかかる費用はただただ飛んでいきます。
これらのことから多くの介護事業者はスタートアップの資金を創業融資で乗り切ります。
介護事業で開業する人が利用する創業融資は大きく分けて2つになります。
1つは日本政策公庫の新創業融資制度です。2つ目が自治体が主体的に行っている制度融資があります。
それぞれに一長一短がありご自身の状況と合わせてどちらが適しているかご判断ください。
自己資金の要件
どちらの創業融資も提出する書類はほとんど共通しています。
なので、どちらを利用するか選ぶのではなく両方進めていくことが多いです。
どちらも資金を借りるための要件として自己資金の要件があります。
自己資金とはあなたが開業するまでにコツコツと貯めたお金で返済義務のない自由に事業に使えるお金のことです。
借りられる上限額
新創業融資制度で借りられる上限額は自己資金の9倍までです。
自己資金として100万円所有していれば、900万円借りられます。
制度融資の場合は、自己資金の2倍までです。
100万円所有していれば200万円を借りられます。
自己資金の貯め方
自己資金はお金の貯め方、その過程を判断されます。
事業に1000万必要だから親から100万円もらって創業融資を受けようというのは問題ないでしょうか。
これはダメです。創業融資には面接があり面接官が融資をするかしないか決定します。
面接の決め手はやる気と返済能力の有無です。事業を本気に考えている人はこつこつと貯金をしてきているはずだ!と面接官は思っています。
なので面接では銀行通帳を見せて給料から貯めましたという証明が必要なのです。つまりタンス貯金もだめです。過程を証明出来ないからです。
新創業融資制度のメリット・デメリット
日本政策公庫のメリット・デメリットを確認しましょう。
《メリット》無担保・無保証人でも融資が受けられる
融資を受けるにあたって担保や保証人が一番ネックになるのではないでしょうか。
担保や保証人とは、借金を返済できなくなった場合に代わりに不動産などを売却して返済にあてることや本人以外が返済することですよね。
これらが不要で融資を受けれらます。
なぜかというと創業融資は日本が起業を応援する制度だからです。
銀行はお金を貸してその利子で利益を出すことが目的なので担保や保証人が必要です。創業融資の目的はそうではありません。
よって不要です。不要な代わりに貸してもらえる上限額が最大3000万円までになります。
介護事業の開業には十分な額なのであまり関係ないですね。
《デメリット》創業の要件
誰でも新創業融資制度を利用できるわけではありません。
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方が対象です。
介護事業で開業するために法人を設立した人は問題なく対象ですが、既に会社を設立して2年以上の実績がある場合は対象外です。
以上が新創業融資制度のメリットデメリットになります。
制度融資のメリット・デメリット
制度融資とは都道府県や市町村等の信用保証協会が融資をうける企業を保証することで銀行から融資を受けます。
自治体が主導しているので、制度融資は自治体ごとによって利率や借りられる額が異なります。
《メリット》金利が低いことと創業要件が緩い場合がある
制度融資のメリットは金利が低いところです。
自治体が利子を補給してくるからです。大体1%~2%程度です。
また新創業融資制度は創業要件の期間が一律ですが、制度融資は創業してから5年未満という要件もあり幅があります。
東京都の制度融資は5年未満です。必然的に制度融資のみ利用できる事業者もでてきます。
《デメリット》融資までの期間が長い、信用保証料、保証人が必要
新創業融資と比べたときに融資が実行されるまでの期間が長いです。
制度融資は自治体、銀行、信用保証協会と3つの機関が関わるので審査の時間がかかります。融資までだいたい2ヶ月半程度かかります。
それと会社の代表者が連帯保証人になることを求められます。これは銀行が融資をするので当然といえば当然です。
制度融資は信用保証協会に信用保証料を支払うこと義務付けられ、仮に返済が滞ると協会が一時的に返済額を立て替えてます。
これは返済がチャラになるわけではありません。最終的に返済します。
まとめ
上記のことからどっちをおススメするかというと、新創業融資制度の方になります。
新創業融資制度は融資が実行されるまでに1カ月ほどです。
営業許可を受けてすぐに融資を受けられるように準備すると、開業してから1か月後に資金が融資されます。
そこで人件費や賃貸料を支払えます。
スタートアップ時のまとまった収入がない時期を乗り越えることが介護事業者にとって最初にぶつかる壁だからです。
ちなみにデイサービス等の施設系の開業を考えている人は建物の改修費を融資で賄いたいとお考えだと思いますが、それは原則不可です。
介護事業所として指定を受けられる保証がないので融資は原則的に下りません。
改修費として支払った額は面接時に自己資金として算定できますので、まず建物から優先して自己資金に充ててください。